会社を設立するに際しては、ご自分で行うこともありますし、専門家に頼むこともあります。
いずれにしても、後から、こういう風にしておけば良かったということが多々ございます。
今回は、そういった会社の設立に際して、注意しておきたいことをご説明させていただきます。
目次
資本金が少なすぎる
2006年の会社法の改正により、資本金1円で株式会社を設立することができるようになりました。
巷では「1円で会社設立」と言われてずいぶんと話題になりました。
しかし、資本金1円で株式会社を設立するとどうなるでしょうか?
- 運転資金のための借入が必要
- 金融機関からの融資が困難
- 対外的な信用力が低い
資本金1円で株式会社を設立しますと上記のような問題が発生します。
当事務所でも、時々1円で株式会社をつくりたいのですがと、おたずねを受けることがありますが、上記の問題点をお伝えしますと、必ず「止めておきます」となります。
設立後の問題を回避するためにも資本金の金額の設定は慎重に行う必要があります。
出資額を同額にする
ご夫婦や仲の良いご友人同士で会社を設立する場合に出資額を同額にすることがよくあります。
出資額を同じにしておけば、すべて平等になるとお考えですが、後々、これが大変な問題になることがあります。
株式会社は出資額にもとづいて議決権があたえられます。
そのため、出資額を同額にしてしまうと、意見の対立が生じたり、仲たがいが生じた場合には、会社の経営がストップする事態に陥ることがあります。
確かに、ご夫婦で仲良く二人三脚で経営されている場合は意見の対立や仲たがいもなく問題はありませんが、いざ、相続や事業承継が生じた場合は大問題に発展します。
それゆえ、株式会社を設立する際には、必ず筆頭株主が一人になるように出資額を定める必要があります。
事業目的が少なすぎる
会社を設立する際に、会社の運営上のルールを定めた「定款」を作成しますが、その定款には、設立する会社の事業目的を記載する必要があります。
会社は、原則としてその事業目的に記載されていない事業を行うことができません。
よくあるケースとしては、今行っている事業のみを記載することです。
もちろん、それでも全然問題はないのですが、将来、こういう事業をやってみたい、この事業はやる可能性があるというものは、できるだけ事業目的に記載しておいた方が良いです。
というのは、定款を変えるには、事務作業もありますが、何よりも登記を変更する必要がありますので、登録免許税3万円かかります。
専門家に依頼する場合は、さらに費用がかかってきます。
そのため、会社を設立する際には、定款にできるだけ多くの事業目的を記載することが望ましいです。
決算期と繁忙期が重なる
個人事業の場合、事業年度は一律1月1日から12月31日までと定められておりますが、会社の場合は事業年度を自由に定めることができます。
日本の場合は、行政の会計年度が4月1日から3月31日と定められていることにあわせて会社の事業年度も4月1日から3月31日にするケースが以前は多かったです。
しかし、この事業年度にすると取引先から請求書や納品書が届くのが遅くなったり、確定申告を税理士に依頼する場合は他の期間の事業年度と比べて報酬が割高になったりします。
会社設立の際に、3月31日を決算日とする以外に会社の繁忙期にあわせて決算期を定められることもありますが、会社の決算作業は非常に大変です。
そのため、人員にある程度余力があるなどを除いては決算期と繁忙期は重ならないように事業年度をさだめていただいた方が良いです。
いかがでしたでしょうか。
会社を設立する際には、できるだけ将来に問題を生じさせない、将来の負担の増加を抑えるなど未来を見据えて法人設立をすることが良いです。
法人設立をお考えの方、自分で会社を設立したが、色々と不安がある方はお気軽にご相談ください。