新型コロナウイルスや巣ごもり需要を受けて世界的に輸送費用が高騰していますが、円安が進むと海外での販売に際して円に換算するレートが高くなりますので、輸出取引を行う事業者にとって有利になります。
輸出取引をはじめて行う場合、税金がどのようになるか不安に思われている事業者の方が結構いらっしゃいます。
そこで、今回は輸出取引の消費税についてご説明させていただきます。
目次
輸出取引の契約形態
輸出取引を行う際には、関税や通関費用、運送料など様々なコストがかかります。
そういったコストを売主が負担するのか、買主が負担するのかは契約に基づいて取決めを行います。
ここからは、輸出取引の主要な契約形態をみていきます。
CIF(Cost-Insuranca-and-Freight): 運賃保険料込み
売主は買主の指定する船舶に商品を積込むことで引渡しは完了しますが、その後の海上運賃および輸送保険料も売主が負担します。
海上輸送や保険の手配は売主側で行うため効率的であるが、その分買主側にとってはコストが高くなりやすい。
FOB(Free-On-Board): 本船渡し
売主が買主の指定する船舶に商品を積込むことで引渡しが完了し、海上運賃および輸送保険料は買主が負担します。
海上輸送や輸送保険は買主側で手配するため、本船のスケジュールが調整しやすく、価格交渉も可能であるため、売主側で手配し契約金額に上乗せされるよりかはコストを抑えられる可能性があります。
EXW(EX-Works): 工場渡し
売主が工場や倉庫等で商品を引渡し、その後の輸送手段の手配、積込み作業の危険負担、海上運賃および保険料を買主が負担します。
売主は工場や倉庫等で商品を引渡すだけであるため、最もリスクが少ない輸出取引となります。
そのため、輸出取引に不慣れな事業者にとっては非常に行いやすい形態ですが、そのぶん買主との価格交渉が求められやすいです。
輸出免税の対象取引
では、輸出取引を行う場合、消費税はどうなるのでしょうか
輸出取引は免税取引になりますので、消費税はかかりません。
輸出取引とは次のように規定されています。
消費税の輸出免税の対象となる取引は「本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け」(輸出取引)等とされています(消費税法第7条第1項第1号)。
そして、その取引が輸出取引等に該当することを示す証明書等を7年間保存しておくことが必要です(消費税法 第7条第2項、消費税法施行規則第5条) 。
ここで、CIFおよびFOBの場合は、売主が指定する船舶に商品を積込みをする一方、EXWは国内の工場や倉庫等で商品の引渡しが行われるため、輸出取引にあたらないのではという疑問が生じます。
EXWの場合は国内の工場や倉庫等で商品の引渡しが行われますが、当該取引が輸出目的で行われることが個々の契約内容などから判断されれば、輸出免税の対象取引になります。
契約内容から輸出取引として判断されるためには、次のような要件を満たしている必要があります。
- 契約等により、国内で商品を転売することが禁じられている
- 売主が輸出申告等の手続きを行っている
- 売主が輸出証明書等の保存を行っている
輸出取引は今回あげさせていただきました契約形態以外にも、様々なものがあります。
輸出取引の契約形態にあっては、輸出取引の免税取引に該当するか否かわかりにくいものもありますので、お気軽にご相談ください。